経済・政治・国際

憲政を破壊した麻生首相

7月12日の都議選を控え、自民党内は混乱状態になっているようだが、7月5日の静岡県知事選で民主党が分裂選挙だったにもかかわらず、民主党候補が当選していることから、都議選の結果及びその後の国政の政局については、政治に関心がある人ならある程度予想が…

憲法9条を救った年金問題

7月29日に行われた参院選は自民党が37議席で、与党が過半数割れという結果になった。過去最低だった1989年の36議席を1議席上回ったからというわけでもないようだが、安倍首相は続投を宣言し、これに対して世論の賛否はほぼ半数に割れている状況である。 今回…

トクヴィルを手がかりに民主主義を考える

前回の記事「安倍政権の徴農政策−自由民主主義から極右全体主義へ」は、題名がセンセーショナル過ぎたかもしれないが、記事の内容は冷静に書いたつもりである。もし、安倍政権が稲田議員の徴農政策を実行した場合、国民は支持しないだろうが、衆院の多数にま…

安倍政権の徴農政策−自由民主主義から極右全体主義へ

以下の産経新聞の記事は、いろいろなブログで話題になっているので、当ブログで今さら取り上げるまでもないと思ったのだが、マスコミではきれいごとばかりで、この記事のような安倍氏の本質をほとんど話題にしていないことが気がかりに思えたので、今回取り…

イタリアの政権交代

4月9日と10日、イタリアで行われた上下両院選挙で、プローディ元首相率いる中道左派連合「連合」が、ベルルスコーニ首相の中道右派連合「自由の家」を小差で破った。 野党陣営の勝利確定=最高裁、最終集計結果を発表−イタリア(ヤフー・時事通信) (1)ベ…

フランスのCPEと日本の解雇ルール

フランスで、26歳未満の若者を2年間の試用期間中は自由に解雇できるとしたCPE(初期雇用契約)が学生等のデモで廃案になった。デモには100万人以上が参加したということで、フランス国民の政治意識の高さを見せつけられた思いがしたが、東京新聞で学習…

ハンナ・アーレントによる労働観の再考(2)

「ハンナ・アーレントによる労働観の再考(1)」の続きです。 前回はマルクスの労働観までをみてきましたが、今回は本題の、アーレントの労働観が登場します。アーレントは、「労働」「仕事」「活動」の3つの活動力を独自に概念化します。 以下、『ハンナ・…

ハンナ・アーレントによる労働観の再考(1)

日本人の勤勉さが、日本を世界第二位の経済大国にさせたともいわれる。しかし、その実態は、過労死する人が後を絶たず、不景気になってからもそれは変わらない。 労働至上主義は、科学的社会主義を生み出したカール・マルクスなどに源流を求めることができる…

今後の民主党のあり方について

9月11日に行われた総選挙で民主党が大敗した。小選挙区制のマジックがあったとはいえ、小泉自民党に風が吹いたことは確かである。いろいろなところで民主党敗北の分析がされているが、いつものことながら山口教授の分析がとても鮮やかだったので、ここで紹介…

シュンペーターとサッチャリズム

前回、「カルト宗教のような新自由主義」で反ケインズ経済学を取り上げたが、その補足として、今回、森嶋通夫著『思想としての近代経済学』(岩波新書1994年)から、シュンペーターとサッチャリズムの関係について取り上げたい。 シュンペーターはオーストリ…

カルト宗教のような新自由主義

1929年、資本主義社会を襲った世界恐慌は、それまで経済学で支配的だった新古典派経済理論の信頼性を失わせ、経済学は危機を迎えた。この経済学の危機を解決したのが、ケインズの『一般理論』だった。 しかし、戦後になってから、ケインズ以前の新古典派…

民意を歪めてまで安定政権をつくるのか

9月18日、ドイツで行われた総選挙は、第1党と第2党が3議席差になる大接戦となった。ドイツの選挙制度は小選挙区比例代表併用制で、日本の小選挙区比例代表並立制と名前が似ているが、全く違う制度である。ドイツの併用制は比例代表の得票率でまず各党…

改憲への大きな一歩―2005年総選挙を振り返る

1 投票率上昇分が自民党に流れた? 9月11日に行われた総選挙の投票率は67.51%(小選挙区)と、前回の59.86%より大幅に上昇し、1994年総選挙の水準まで回復した。 無党派層は小選挙区でどこに投票したか(出口調査)(読売新聞9月12日…

自公で3分の2の議席確保ー平和国家の放棄へ

前の記事(「小泉構造改革=新自由主義とは何か」)は選挙終了後にアップしたものだが、書いたのはまだ結果が出ていない選挙中だったので、選挙結果を予想して書いたため、結果とズレがあった。「小泉自民党の圧勝」というのは自公で3分の2を取ることでは…

小泉構造改革=新自由主義とは何か

総選挙は小泉自民党の圧勝で終わり、郵政民営化をはじめとする小泉構造改革がこれからさらに加速しそうだ。小泉構造改革は言うまでもなく新自由主義の一種であり、徹底した民営化は小さな政府となるが、小さな政府とは国が福祉から手を引くことを意味してい…

争点誘導の総選挙

(1)郵政民営化反対論について 自民党の郵政民営化反対派は小泉首相から抵抗勢力や守旧派と言われ、郵政法案に反対した民主党も同じ抵抗勢力だと言われている。さらに、反対派議員の選挙区に「刺客」を送り込んでいる。 マスコミも、首相のレッテル貼りを…

争点隠しの都議選

1 都議選投票率43.99% 7月3日、東京都議会議員選挙(定数127)が行われたが、過去2番目の低投票率だった。低投票率の原因として、特に争点がなかったことが挙げられる。しかし、正確にいえば争点はあったが、それがわかりにくくぼかされていたといえ…

フランスのEU憲法否決(2)恐怖の政治

フランスのEU憲法反対派は、EU憲法の新自由主義的な面に反対していたといわれるが、実際にはEU憲法自体に反対していたというよりも、EU憲法を国民投票で否決することが目的であって、そのために工場移転や移民などによる失業といった有権者の恐怖感に訴えか…

フランスのEU憲法否決(1)サルコジ人気の不思議

フランスでEU憲法が否決され、マスコミやブログでその意味や影響についていろいろ語られている。EU憲法についてもいろいろ紹介されているが、調べれば調べるほど、私にはEU憲法というものが良いものだか悪いものだかわからなくなってきた。もし、私に国民投…

NHKと政治の問題

NHK介入問題については、告発したNHKチーフプロデューサーと、それを報道した朝日新聞側に当初から厳しい状況になっていたため、この問題を取り上げるのは見合わせていた。告発から2週間がたち、NHKと朝日新聞の対決という形になったが、NHKチーフプロデ…

ビラ配りと憲法

12月16日、東京地裁八王子支部で、立川のビラ事件に無罪判決が出た。 官舎に『反対ビラ』無罪 憲法で表現活動保障(東京新聞) 常識的な判決が出て、まずは一安心だが、控訴の可能性もあるし、何よりも世論の反応が気がかりだ。それについて、ガ島通信さんの…

米国がファルージャの病院を閉鎖させる(追記)

「米国がファルージャの病院を閉鎖させる」の題名について、詳しい説明が不足していたので補足します。ここでいう病院はファルージャ総合病院で、米軍が反米プロパガンダの拠点になっているという理由で「制圧」しました。私は「制圧」を閉鎖と同じ意味に捉…

米国がファルージャの病院を閉鎖させる

『イラク・ファルージャで大規模攻撃が始まったことは世界に 伝えられているが、イラクでのこれまでの死者は2~10万人。 これに対して、 チェチェン戦争の死者は94年以来20~25万人 中央アフリカ・コンゴ内戦の死者は99年以来330万人 スーダン内戦の死者は過…

天皇発言で考える象徴天皇制と国民国家

国旗・国歌「強制でないのが望ましい」天皇陛下が園遊会で(朝日新聞) この天皇発言について、私は、米長氏の発言に対して、天皇陛下が一言言わざるを得なかったという、一種の事故と受け止めている。だから、この事故について、大げさに取り上げるのは控え…

スーダン・ダルフール危機と中国

スーダンのダルフールで世界最悪の危機が起きていることはマスコミがあまり報道しなかったが、そのことを問題視してダルフール問題を取り上げるブログがいくつか現れた。その中でも特に熱心だったのが、スーダン・ダルフール危機情報Wikiを立ち上げた極東ブ…

人々に歓迎された日本国憲法

2004年8月に出版された『戦後政治史 新版』の「はじめに」は、石川真澄氏の最後の文章となった。石川氏といえば、『データ戦後政治史』が名前を変えながら版を重ねていて、政治学を勉強した人なら一度は読んでいるのではないか。個人的には、1993年に読んだ…

ベネゼエラで反グローバリズムが信任される

先日、「『金で買えるアメリカ民主主義』を読む(2)」でベネゼエラのチャベス大統領に言及したところ、その直後、ベネゼエラでチャベスを罷免するかどうかを問う国民投票が行われた。私は普段中南米に関心を払っていなかったので、国民投票が行われること…

重慶爆撃について

中国の重慶で行われたサッカーのアジアカップを見ていると、日本は中国と戦っているわけではないのに、中国の観客が日本にブーイングをしてくる。重慶とはいえ、これはやばいと思っていたら、やはり反日ブーイング事件として社会問題となった。日本では、読…