米国がファルージャの病院を閉鎖させる(追記)

 「米国がファルージャの病院を閉鎖させる」の題名について、詳しい説明が不足していたので補足します。ここでいう病院はファルージャ総合病院で、米軍が反米プロパガンダの拠点になっているという理由で「制圧」しました。私は「制圧」を閉鎖と同じ意味に捉えました。  4月の米軍によるファルージャ包囲のとき、ファルージャにいたラフール・マハジャン氏の説明によると、4月のときも米軍はユーフラテス川の橋を封鎖させることによって、ファルージャ総合病院を「制圧」(=閉鎖)させたようです。 ラフール・マハジャン「ファルージャと戦争の現実」(Falluja, April 2004 - the book)
ファルージャの大病院は,町の中心部からユーフラテス川を隔てたところにある。まず最初に米軍はこの橋を封鎖し,町と大病院とを切り離してしまった。患者を診察したい医師たちは,自分で運べるだけの器械を運んで,病院を去らなければならなかった。 医師たちは急ごしらえの病院を,市の至るところに作った。4月に私が滞在した病院は,ベッドが4床の部屋が1つだけの,地域の診療所だった。手術室はなかった。医師たちはジュースの自動販売機で(輸血用の)血液を冷蔵していた。こことは別の診療所は,自動車修理工場だったのだという話だった。この,大病院の閉鎖もまた(私がイラクで記録したようなものだっただけでなく)ジュネーヴ条約違反である。
 今回、11月の攻撃でもファルージャ総合病院が「制圧」されたことは、前の記事でリンクをはった朝日新聞をはじめ、様々なメディアが報じているとおりです。今回、CNNのリンクもはっておきます。 イラク軍、ファルージャ病院占拠 総攻撃開始へ(CNN)
病院内を部屋ごとに捜索した後、戦闘員年齢の男性約50人に手錠をかけたが、後に半数は解放された。 占拠が終わったあと、病院周辺で小火器の発砲音が散発的に聞こえたという。また少なくとも米軍機1機がファルージャ上空を旋回飛行し続けている。 米軍関係者によると、病院をまず占拠したのは、病院職員が今後の戦闘で出る負傷者の手当を、武装勢力に脅かされることなく、速やかにできるような環境を確保する必要があったのと、病院がこれまでのような反米プロパガンダの拠点として使われ続けることを止めさせる必要があったからだという。 ファルージャでの戦闘においてこれまで、病院関係者は外国メディアに対し、米軍の空爆は一般市民のみを標的にしていると語り、米軍がこれを強く否定していた。
 14日現在、ファルージャ総合病院の最新情報として、以下の情報があります。 現時点での情報:「援助物資」は市街地には入っていないようです。(Falluja, April 2004 - the book)
ファルージャ,死者数1000,負傷者600といった具体的な数字が報道されています。一方で,病院に援助物資が届けられたそうですが,その病院っていうのは,米軍とイラク軍が「制圧」した,ユーフラテス川西岸の総合病院のようです。すなわち,最も死傷者数の多いであろう市街地からのアクセスが地理的条件(橋を渡らなければならない)および軍事的条件(橋は米軍が押さえている)により制限されている。
 ファルージャの情報は米軍が統制しているため、錯綜していて、現状の把握は容易ではありませんが、以下のサイト等が多くの情報を提供してくれます。 Falluja, April 2004 - the book 益岡賢のページ シバレイのblog 新イラク取材日記