僕たちの将来は僕たちがつくる
Bank Bandのアルバム「沿志奏逢」のレンタル解禁日、レンタルショップに行ってみると、アルバムがたくさん置いてあったので、拍子抜けした。Bank Bandはミスチルの桜井が参加しているので、とても人気があって、当分借りられないだろうと思っていたからだ。ミスチルファンにもほとんど知られていないのか、それとも内容がポップではないからなのか。残念ながら、後者ではないかと思った。
しかし、極上のアルバムである。曲自体が良いこともあるが、小林武史のピアノアレンジが素晴らしい。
カバーアルバムなのだが、ミスチルの曲は2曲だけで、すべてにおいてメッセージ性の強い曲が選曲されている。中島みゆきが2曲、井上陽水が1曲、浜田省吾が2もしくは1曲。2もしくは1というのは、最後のシークレットトラックが浜省か吉田拓郎のどちらかが入っているからで、私が聴いたのは浜省の方だった。初め、桜井のオリジナル曲かと思って、やけにいい曲をシークレットトラックにもってくるなと思ったら、後になって浜省の曲だということに気づいて、良いわけだと、とても納得した。
どの曲も良いのだが、一番印象に残ったのは中島みゆきの「僕たちの将来」。1984年10月発表の曲なので、「暑い国の戦争」というのは、イラン・イラク戦争(1980-88年)、グレナダ侵攻(1983年)、チャド内戦(1983年)などがあるが、私は「青の濃すぎる」からU2を連想して、米国によるグレナダ侵攻ではないかと思った。
「僕たちの将来は良くなってゆく筈だね」と歌っているのだが、どう聴いても良くなってゆくとは思えない曲調で、聴けば聴くほど暗くなっていくのは、いかにも中島みゆきという感じなのだが(ファンの方、ごめんなさい)、良くなるか悪くなるか、ポジティブであるかネガティブであるかを抜きにして、「僕たちの将来」を歌っていることこそが大事なのだろう。
人生厳しいし、解決するのが難しい社会問題も山積している。楽観できないけど、かといって悲観することもできない。私は、人生だけでなく社会問題も、僕たちの将来は僕たちがつくるという気持ちを持つことが大事なんだろうと思う。僕たち、若者の将来を老人の政治家や財界人に白紙委任できるわけがない。そう思えばこそ、テレビで流れる戦争の映像にも関心が持てるのではないか。一人一人ができることは非常に些細なことでしかない。しかし、関心を持ち続け、わずかでもそれに対してコミットすることができれば、それでいいではないか。
このCDの収益は、環境問題に取り組む団体に融資しているap bankの維持のために使われるとのことなので、もしセカンドアルバムが出たら、そのときは買おうと思う。
参考
ap bank
沿志奏逢 [LIMITED EDITION]
みゆき様(a struggle for STYLE)
Bank Band「沿志奏逢」にシークレットトラック2種類収録(cozyの果てしないたわごと3)
僕と彼女と週末に(犬総長のぼやき~犬小屋編)