「ボウリング・フォー・コロンバイン」と日本における中国人

 先日、テレビでやっていたムーア監督の「ボウリング・フォー・コロンバイン」を見た。コロンバイン高校の乱射事件からアメリカの銃社会を考える映画だが、ムーア監督の突撃取材や、サウスパークのアニメを使ったエンターテイメント的要素が効果的で、何よりもマスコミが国民の不安をあおる構造を指摘していたことに考えさせられた。  アメリカでは、黒人男性の犯罪をマスコミが取り上げる回数が多い。犯罪は実際には減少しているのに、マスコミが取り上げる回数が増えているので、あたかも黒人男性による犯罪が増えているように錯覚させ、不安をあおっている。  これを見て思ったのは、アメリカを日本、黒人男性を中国人に変えれば、現在の日本そのものではないかということ。最近、テレビのニュースで中国人による犯罪が取り上げられない日はないといってもいいくらいだ。中国人による凶悪事件が起きたからといって、中国人を排除するのではなく、その原因を調べて、何か構造的な問題がないかどうか調べる姿勢がマスコミには必要であるのに、外国人排斥につながりかねないような報道ばかりしていないだろうか。日本にいる中国人のほとんどが善良な人であることはいうまでもない。日本では近年、犯罪が増えていると言われているが、本当にそうだろうか。少なくとも、少年犯罪が増えているというのは間違いであることは、一部では周知の事実だ。  アメリカでのテロの恐怖は、日本では北朝鮮の脅威に置き換えられるだろう。北朝鮮テポドンは確かに脅威だが、冷戦時代のソ連核兵器に比べれば、子供だましのように思えてしまう。  映画では、カナダが出てくる。カナダでは、夜でも家の鍵をかけないというのは信じられなかったが、社会保障システムがはたらいていて、スラムが見られないというのは、先進国として普通の姿だ。アメリカは先進国の中でも特異な存在であるということを認識している日本人が少なすぎると思う。銃社会はその一面にすぎず、貧富の格差が大きいということが一番大きな点であろう。このような社会にする、新自由主義による規制緩和を阻止しなければならないが、このようなことを主張すると共産主義扱いされかねないところまで、今の日本はアメリカ化してしまったといえる。  アメリカでは保守的で好戦的なFOXニュースの影響力が増していることも大きい。先日、リベラルなCBSで不祥事があった。大統領選を前に、ますますFOXの影響力が大きくなるのかと思うと憂慮すべき事態だ。 参考 ボウリング・フォー・コロンバイン 少年法改正へ法務省方針(★J憲法&少年A★) 喪家の狗 ― 実録!在日中国人残虐犯罪(blog::TIAO) CBS、疑惑資料の提供者とケリー陣営を接触させた疑い(ロイター通信)