「I'M WITH STUPID」−政治家の嘘を許さないイギリス国民

あぁ、僕は賛成だよ

あぁ、僕は(“愚か者”と)同じ意見だよ

「I'M WITH STUPID」PET SHOP BOYS

「このシングルは、どうしてその相手と付き合っているのか、自分以外、世界中の誰も理解することができないっていう状況について歌っているラヴ・ソングなんだ。これはまたブレア首相とブッシュ大統領との関係を、ブレア視点から描いている諷刺でもあるんだよね」(ペット・ショップ・ボーイズのニール・テナント)

 ブレアが大量破壊兵器の嘘をついたことに対して、イギリス国民は最後まで許さなかった。ブレアは退陣を表明し、後継がブラウン財務相に決まらないこともあって、労働党の支持率は低迷したままだ。

 それに対して、小泉首相イラク戦争を支持してイラク自衛隊を送ったが、多くの日本国民は最後まで小泉首相を支持し続けた。

 政治家の約束、発言の重みというものに対して、日本とイギリスの国民では捉え方がまったく違う。そのことが、日本とイギリスは同じ議院内閣制をとっているにもかかわらず、政治のあり方が大きく違う一因でもある。

 二大政党制という外面を真似するだけでは、いつまでたってもイギリスの政治に追いつけない。それどころか、似たり寄ったりの二大政党で国民の選択肢が狭まり、与党についた方が数の力に任せて専制政治を行う。どれも日本人が政治というものを蔑視し、議論というものを軽視した結果だろう。当然の報いかもしれない。

 従来からの政治手法を続けて、地元への利益誘導を狙う地元有力者と地元財界、その一方でそんな政治に諦めをつけ、政治を卑しいものとして蔑視するサラリーマン層の庶民。先週行われた衆院補選や首長選の選挙結果からは、そんな状況がみえてくる。棄権する庶民が多いので、選挙結果と民意にずれがでてくるが、当選者は数の力に任せてしまう。そこで、庶民の政治不信はさらに深まる。

 政治不信の悪循環はいつ止まるのだろうか。それがいつになるにしろ、止めるのは庶民自身であるから、庶民自身が政治に関して賢くなるしかない。その際、イギリスが大いに参考になる。

 なぜ、ペット・ショップ・ボーイズが政治的な歌を歌っているのか。それは、日本と違って、イギリスの国民が政治的に成熟しているからだろう。

参考WEB

英与党労働党支持率、87年以来の低水準に落ち込む=世論調査(ヤフー・ロイター)

参考バックナンバー

『ブレア時代のイギリス』−イギリスの労働党と日本の民主党