よみがえる治安維持法—共謀罪法案

 今国会では、日本のファッショ化を象徴する3つの法案が審議されている。憲法改正時の反対運動を規制する国民投票法案、実質的に障害者切り捨て法案といわれている障害者自立支援法案、そして、戦前の治安維持法によく似ている共謀罪法案である。通常であればまず成立しない危険な法案であるが、与党で衆院議席数の3分の2を突破しているので、与党の一存で成立できる状態となっている。にもかかわらず、無力感のせいか、マスコミがあまり取り上げていないので、一般にほとんど知られていない。  共謀罪は、日本国憲法第19条で規定されている思想及び良心の自由に立ち入る点と、権力側がどのようにも解釈できる点で大きな問題がある。  戦前の1925年、加藤高明内閣が普通選挙法とセットで治安維持法を成立させた。政府は提案のとき、無政府主義共産主義を取り締まるもので、穏健な労働運動や社会運動を抑圧するものではないと説明したが、のちには次第に拡大解釈され、一切の反政府思想が抑圧された。行為ではなく思想そのものが処罰の対象にされたのである。  共謀罪治安維持法と同じように拡大解釈されていく危険性がある。そんなバカなと思っても、ここで止められなければいつか来た道である。 参考 治安維持法(1925年加藤高明内閣公布) 第1条 国体ヲ変革シ又ハ私有財産制度ヲ否認スルコトヲ目的トシテ結社ヲ組織シ又ハ情ヲ知リテ之ニ加入シタル者ハ十年以下ノ懲役又ハ禁錮ニ処ス  前項ノ未遂罪ハ之ヲ罰ス 1928年 改正治安維持法(田中義一内閣) 1941年 再改正治安維持法(近衛文麿内閣) 参考ブログ等 国民「見ざる聞かざる言わざる」投票法案&相談しただけで捕まる法案 審議開始!(J憲法&少年A) 「共謀罪」法案国会審議入り/「記者クラブ」という名の“出島”(kitanoのアレ) 治安維持法のこと(中山研一の刑法学ブログ) 保坂展人のどこどこ日記 共謀罪 3度目の国会提出(東京新聞)