自殺大国の旧ソ連と日本

大阪過労死問題連絡会 最新情報(2004年9月)
2004/9/9 <自殺率>日本が先進国でトップに WHO調査  【ジュネーブ大木俊治】日本の自殺者数が人口10万人あたりの比率に換算すると世界第10位で、旧ソ連・東欧圏を除く主要先進国の中では最も多いことが8日、世界保健機関(WHO)の調べでわかった。99年の前回調査では、日本は16.8人(96年)で23位だったが、今回は特に45~64歳の中高年男子の自殺者数が急増した。また、世界全体の自殺者数は推計で年間約100万人に達し、「殺人や戦争の死者の総計を上回る」と指摘している。  調査は、データが入手可能な99カ国を対象に直近の数字を比較した。日本は00年で、自殺者総数3万251人だった。  それによると、人口10万人あたりの「自殺率」が最も多いのはリトアニア(44.7人、02年)で第2位がロシア(38.7人、02年)。日本は24.1人(男35.2人、女13.4人)で10番目。主要先進国では米国10.4人(00年)、英国7.5人(99年)、フランス17.5人(99年)、ドイツ13.5人(01年)など。  調査にあたったWHO精神保健局は、日本の自殺急増について「十分な分析はできていないが、不況による仕事でのストレスの増加が大きな理由のようだ。また、日本の場合“腹切り”の伝統があるように、自殺に寛容な文化的土壌もあるのではないか」と話している。
 社会実情データ図録 自殺率の国際比較には、世界の自殺率について詳しくまとめられている。このページのグーグル広告は、このページに適した広告がないと表示されていることからもわかるように、決して気分のよい読み物ではないが、重大な社会問題になっている以上、すべての政治家が一読すべきものだろう。  自殺率上位10カ国には日本の他に、旧ソ連諸国と東欧のハンガリースロベニアが入っている。自殺率が高い点では共通している日本と旧ソ連諸国だが、自殺率が高い年齢層が違っている。50代男性の自殺率が高い日本に対して、ロシアでは40代男性の自殺率が最も高い。  2005年6月4日の日本経済新聞には自殺率2位のロシアの現状が紹介されていた。ロシアには病院に自殺科という科があって、収容施設が足りない状態らしい。公式発表では富裕層10%と貧困層10%の所得格差は15倍、実際には50倍以上ともいわれ、専門家は貧窮を自殺の第一の背景として挙げる。自殺科のボイツェフ博士は「ソ連崩壊後の経済・社会の変化に取り残された層がトラウマに陥っている」、社会・経済問題研究所のコトキナ博士は「社会的、経済的責任を果たせない男性が絶望し、自暴自棄になっている」とそれぞれ指摘している。 社会実情データ図録 自殺率の国際比較
 日本の自殺率の高さについては、WHO精神保健部ホセ・ベルトロテ博士はこう言っている。「日本では、自殺が文化の一部になっているように見える。直接の原因は過労や失業、倒産、いじめなどだが、自殺によって自身の名誉を守る、責任を取る、といった倫理規範として自殺がとらえられている。これは他のアジア諸国キューバでもみられる傾向だ。」こうした点は当の国の人間では気づきにくい見方かと思われる。
 自暴自棄になって自殺するか、責任をとるために自殺するかの違いはあっても、社会的責任を果たせない状態に追い込まれての自殺が多いことは日本とロシアで共通している。日本の特異な点として、失業による自殺だけでなく、過労自殺があることが挙げられる。過労自殺については、また別の記事として取り上げたい。  日本にも、自殺科だけでなく、過労科もあわせて病院に設置した方がいいかもしれない。とにかく、自殺対策が急務になっていることは間違いない。  皆さん、くれぐれも思い詰めないで頂きたいところだが、私も人のことより自分の心配をした方がいいかもしれないので、以下のブログは現実的な対処例が載っていてためになった。 日本の自殺率世界で10位(モノ太郎の雑学コラム)